| 現在ではオニは節分のイメージが強いですが、日本人にとってどのような意味をもっていたのでしょうか。ごく簡単に歴史をふりかえってみましょう。
『日本書記』斉明天皇7年(661年)8月には、大笠をかぶったオニが天皇の御大葬をのぞき見ているという記述があります。何となく不気味ではありますが、人間に危害を加えるものではありません。
鬼が人里に現れて暴れだすのは、奈良時代に入ってからのことです。平安時代に書かれた『日本霊異記』や『今昔物語』などには、行きどころのない横死者、祀られない霊といった死霊・怨霊が鬼となって、その場所を訪れた人間を食べてしまうといった、死霊・怨霊のタタリの存在が説かれています。
ところが室町時代の『御伽草子』になりますと、恐ろしいオニの面影はなく、ユーモラスで逆に人に恵をもたらすという鬼が登場します。たとえば『一寸法師』では、一口でオニに飲み込まれてしまった一寸法師が腰に差した針の刀を抜いて腹を突きまくると、降伏します。慌てたオニは望み物を何でも打ち出すことのでいる「打ち出の小槌」をおいて逃げてしまいます。
姫君が小槌を振ると、一寸法師はたちまち一人前の若武者になり、金銀財宝を打ち出し、姫君と結ばれてハッピーエンドとなるといったストーリーです。
年中行事の上からみてみますと、「幸せをもたらす鬼」が登場するのは、大分県国東(くにさき)の六御満山(ろくごうまんざん)で営まれる「修正鬼会(しゅしょうおにえ)」があります。
招福的なオニの性格は、このほかに秋田県のナマハゲや薩南屋久島の甑島(こしきじま)のトシノカミ、沖縄八重山の赤マタ・黒マタなどがあります。
このように、オニには「恐ろしい鬼」と「幸せをもたらす鬼」の二種類が存在することがわかります。このことを反映して、節分に登場する鬼も二種類あることになります。
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